上林集落の社会生態学的生産ランドスケープのレジリエンス評価と適応的共同管理(台湾・嘉義市)
上林集落(台湾嘉義県)は、漢民族が多く住む平原地帯である。タケノコ栽培が主な生産活動である。この地域の竹林と二次林の水辺には、固有種の農地アマガエル(Zhangixalus arvalis)が生息している。IUCNのレッドリストでは絶滅危惧種に指定されている。近年、タケノコ産業の衰退や土地利用形態の変化により、生息地が失われ、分断化が進んでいる。
2018年、林業自然保護局嘉義分局は上林集落で農地アマガエルに優しい農法を推進し始めた。2021年には、地域の課題をよりよく理解し、保全と開発の優先順位を調整するためのツールとして、レジリエンス・アセスメント・ワークショップ(RAW)が使用された。RAWの結果、生物多様性に基づく所得の向上と販売チャネルの多様化、水質と水量の効果的な管理、自然災害に対する住民の回復力強化の必要性が導き出された。
影響
RAWは、上林コミュニティが進むべき道についてより明確な見通しを得るのに役立った。現在に至るまで、コミュニティは上記の優先課題に取り組むため、官民セクターと積極的に協力している。
- 上林の地元住民は嘉義支部と密接に協力し、農地アマガエルを包括種として景観保全のための「農地アマガエルにやさしい生息地ラベル」を推進している。この取り組みには、生息地の管理(例:猛禽類の止まり木の設置、竹の剪定、無農薬栽培)、竹の子を使った健康的な食事のデザイン、環境に優しい製品の価値に対する消費者の意識向上などが含まれる。
- 効果的な水管理のために、コミュニティは地元の池から外来種(ホテイアオイなど)を除去し、生態系の機能と回復力を回復させるよう、大林郷事務所に働きかけることに成功した。水パトロールチームは、上流の卵工場による違法な廃水排出も摘発した。報告や抗議の後、工場は罰金を科され、廃水管理の調整を命じられた。
以上のような取り組みにより、持続可能な地域生活と生息地の保全の相乗効果が生まれ、RAWは上林コミュニティで現在進行中の適応的共同管理とマルチステークホルダー・パートナーシップの出発点となった。