安全性と都市デザインのためのエネルギー効率の高い街路照明

フル・ソリューション
弘前市の街灯
To be added

日本の東北地方にある弘前市と青森市は、街路の安全性とエネルギー効率を向上させるという課題に直面していた。両市は2010年から、従来の街灯をLEDに積極的に交換している。予算が限られているため、両市はLED街灯の設置、維持管理、資金調達にエネルギー・サービス・カンパニー(ESCO)モデルを採用した。このモデルは、省エネ性能契約を通じて民間事業者にエネルギー・サービスを委託することで、地方自治体が利益を得ることを可能にする。

最終更新日 11 Nov 2022
5477 ビュー
コンテクスト
対処すべき課題
技術的能力の欠如
インフラの欠如

2011年の東日本大震災では、津波による原子力発電所の被災により、東日本全域で深刻な電力不足が発生した。このような自治体の経験から、幅広い公共施設における省エネの重要性が浮き彫りになった。同時に、街路のセキュリティと安全性は、地域社会における常に懸念事項である。地方自治体は本質的に、照明エネルギーを節約しながら街路の安全を確保する必要がある。

実施規模
ローカル
エコシステム
エリア全体の開発
建物と施設
テーマ
緩和
インフラ整備
都市計画
エネルギー効率
所在地
青森県弘前市
東アジア
プロセス
プロセスの概要

LED照明は、エネルギー効率が高く、環境フットプリントが低い街路照明の代替品である。両市とも、ESCOスキームを適用することで、街灯のLED化を積極的に進めている。両市政府がESCOプロジェクトを開始した背景には、次の2つの大きな要因がある:1)電力会社がLEDの電気料金を引き下げたこと、2)管理会社とLEDメーカーが地域のニーズに合わせてLED照明を革新的に改造したこと、である。

ビルディング・ブロック
ESCOモデルによる費用対効果が高く、エネルギー効率の高い街灯への改善

ESCOモデルとは、省エネルギー機器・設備の導入費用を、エネルギー費用の削減で補う仕組みである。弘前市はこのビジネスモデルを採用し、地元の電子企業組合に街路灯のLED化と10年間のメンテナンスを委託した。地元電子企業組合への委託料は、10年間で3億4,000万円であった。

この事業が実施される以前は、街灯は町内会が所有し、市は年間電気料金の7%を補助金として町内会に電気代と一部の修繕費を支給していた。そのため、残りの修繕費は町内会が負担しなければならなかった。しかし、このESCOプロジェクトでは、町内会が市に所有権を無償で譲渡した。ESCOスキームを活用し、市は17,800の街灯すべてをエネルギー効率の高いLEDに変えた。

実現可能な要因
  • 街灯の所有権を町内会から市政府に移管する。
  • 街路灯の管理を民間企業組合に委託し、エネルギー効率を高める。
教訓

このESCOスキームにより、市政府は、街路の安全・安心を確保しつつ、エネルギーコストを大幅に削減することに成功した。ESCO事業は、サービスの質を維持しながら、節約と省エネルギーに貢献することを可能にする。

LED照明の電気代引き下げ

2011年12月、日本の大手電力会社は、10ワット未満の街灯の新価格を設定した。例えば、20ワットの蛍光灯は月額169円であるのに対し、10ワットのLEDは月額120円である。この価格差は、LED街灯の普及をより有益なものにしている。

実現可能な要因
  • LEDユーザー向けの新しい電気料金システム

教訓

電気料金の変動は、公共照明設備のランニング・コストを大きく増減させる。LED照明のようなエネルギー消費量の少ない設備の価格が下がれば、個人、地域社会、政府は、古い設備をエネルギー効率の高い代替品に取り替えるようになる。

地域のニーズに合わせた機器のカスタマイズ

LED街灯導入の最大の難関は、この地域の豪雪だった。LEDは発光量が少ないため、他の照明に比べて熱の放出が少ない。そのため、雪がライトを覆って溶けないことがある。そのため、防犯上も好ましくない。雪の問題に対処するため、エネルギー協会と照明メーカーは、弘前市のために特別にカスタマイズされた暗色LEDを発明した。

実現可能な要因
  • 地域の特性による問題を解決するために、特別な機能を備えた街灯をカスタマイズする。
教訓

ESCO事業は、エネルギー事業の専門性を活かし、顧客に省エネに関する総合的なサービスを提供する。工場やビルの省エネ診断、設計・施工・設置、設備の保守・運用管理、事業資金の調達などを行う。ESCOは、総合的なエネルギー使用管理を通じて、地域や個々の問題に対処し、エネルギーコストの総量を削減する。

影響

経済効果:この導入により、市役所の電気代は年間3,000万円下がり、900万円の節約になった。さらに、町内会はメンテナンス費用を負担する必要がない。例えば、プロジェクト実施前、市は街灯に7,200万円の予算を計上していた。しかし、2014年のプロジェクト後は、総予算は6,700万円(電気代3,300万円、委託料3,400万円)に削減された。

社会的インパクト:本プロジェクトでは、138,000本のLED街灯を設置した。LEDは照明コストを削減するため、削減されたコストは照明のメンテナンスに費やされる。また、LED街灯は従来の街灯よりも明るいため、犯罪防止に役立ち、地域の安全性を高めると考えられている。道路が明るくなることで、特に夜間のドライバーや歩行者の視認性が向上し、ひいては交通事故の減少につながることも期待されている。

環境への影響:LEDは、従来の照明の30%しか電力を消費しない。このプロジェクトにより、年間1,236トンのCO2が削減された。また、暗い街路に比べて明るい街路ではゴミのポイ捨てを避ける傾向があるため、街路の明るさが増すことで、都市の環境がよりクリーンになることが期待される。

受益者
  • 弘前市・青森市在住者
  • 弘前市・青森市の民間企業
持続可能な開発目標
SDG7 - 手頃でクリーンなエネルギー
SDG11「持続可能な都市とコミュニティ
寄稿者とつながる
その他の団体