ワクチン接種
EWCPイニシアチブでは、オオカミの生息地とその周辺にいる家庭犬へのワクチン接種キャンペーン、オオカミへの予防的経口ワクチン接種、そして病気の流行が確認された場合のオオカミへの緊急ワクチン接種など、オオカミの個体群における病気の侵入と蔓延を予防し、それに備えるための包括的なアプローチがとられている。
実地試験の成功を含む研究の結果、EWCPは経口ベイト(肉片の中にワクチンの小袋を隠したもの)を使用した、オオカミへの狂犬病予防ワクチン接種を実施できるようになった。経口ワクチン接種は注射ワクチンよりも安価で、オオカミへのストレスも少なく、規模拡大も容易である。
注射による狂犬病ワクチンは世界中の家庭犬で日常的に使用されているが、オオカミへのワクチン接種を成功させるには、経口による狂犬病ワクチン接種という異なるアプローチが必要であった。経口ベイト法は北米やヨーロッパでは一部の野生肉食獣に使用されているが、SAG2狂犬病ワクチンが絶滅危惧種に使用されたのは今回が初めてであった。ベール山地のオオカミの個体群を対象に、餌の嗜好性とワクチンの投与に関する試験が実施された。