民間人を巻き込んで適応策を実施する
EbAの実施を成功させるためには、対策が彼らの土地で実施される場合、民間主体の関与と支援が必要になることがある。個々の利害関係者を説得して実施活動に参加させるプロセスには、多くの場合、多大な時間投資、財源、広報活動が必要となるため、これが課題となる。神門町の場合、市民の雨水を下水道から切り離すことの価値を見極め、その情報を関係者に説得力を持って伝える必要があった。2回の市民説明会の後、技術者が個人宅を訪問し、それぞれの市民のニーズに合った断水の解決策を立案する1対1のプランニング・セッションが行われた。さらに、住民の参加意欲を高めるために、1平方メートルあたりの費用という形で金銭的なインセンティブが提供された。
プロジェクトの成功は、民間人の参加と関与によるものである。雨水を下水道から切り離すことに対する市民の支持は、アウトリーチ活動や意識向上活動、公的資金、自発性、的を絞った二者間の現場専門家によるアドバイスの提供、切り離された世帯に対する料金の引き下げなど、いくつかの要因が組み合わさって生まれたものである。
プロジェクトにおける市民の支持と参加の重要性を考慮し、参加意欲を高めるために多大な努力と資源が投入された。各利害関係者に合わせた情報と参加への論拠を提供する1対1のセッションに時間を費やすことの価値が、このアプローチによって明確になった。こうした努力の結果、この地域のほとんどの土地所有者は、気候変動への適応の必要性をプロジェクトに認識し、一人のアクターとしての貢献の価値を理解した。その結果、住民たちは、実施されたEbA対策を大いに受け入れ、当事者意識を持つようになった。また、気候変動適応の目標を達成し、自分自身と環境のためにさらなるコベネフィットを生み出すために、将来的にさらなる適応策を追求することに前向きで、それを奨励さえするようになった。