ビルディング・ブロック2:持続可能な生計とグリーン・インフラを通じた適応のための自然ベースのソリューション

ネイチャー・ベースド・ソリューションそのものが、このプロジェクトの中核を成している。これらの解決策には、森林再生、水辺の復元、浸透トレンチ、豪雨時の洪水や地滑り、乾季の水不足のリスクを軽減するための流域機能改善のためのライン状の透水性トレイルの設置などが含まれる。これらの対策がもたらす具体的な副次的利益は、災害リスクの軽減と水供給へのアクセスの容易さである。

こうしたネイチャー・ベースド・ソリューションに不可欠なのは、食用キノコ栽培、養蜂、都市型アグロフォレストリー、ガーデニングなど、生態系に負担をかけない持続可能な生計手段の創出である。こうした活動の存在は、生態系への負担を軽減するだけでなく、コミュニティーの賛同を得ることにもつながる。コミュニティーは、プロジェクトから具体的な経済的利益を得ることができるため、プロジェクトの成功に既得権を持つことになる。たとえば、キノコ栽培は、サラパの世帯にとって1区画あたり月152米ドルの追加収入源となっている。

NbSを具体的な利益につながる規模で実施するために必要な物理的なスペースや、異なる権限を持つ機関間の調整に加え、このビルディング・ブロックの成功には、地域社会や政府の主要な利害関係者の参加が不可欠である。

NbSを実施する「ホットスポット」、つまり地域社会で最も脆弱な地域を特定することは、このような解決策の有効性を地域社会に証明するために、可能な限り大きな、そして最も目に見える影響を与えるために極めて重要であった。また、生態系サービス(水の浸透)が市町村の範囲を超えて他の管轄区域にまで及んでいる場合でも、その生態系サービスを捉えることができるため、このプロジェクトの流域の視点も成功には欠かせない。不適応」や、コミュニティにとって役に立たない、あるいは既存の問題を助長するような生計活動(例えば、地域の土壌に合わない作物など)を避けるためには、コミュニティの参加が重要である。例えば、果樹やコミュニティ・ガーデンは、土壌の安定や水の流れの調整に役立つと同時に、コミュニティのさまざまなメンバーにとって、代替生計の成功源となることが証明されている。生計手段の創出と災害被害の軽減によるコベネフィットは、コミュニティや政府の賛同を得、将来の計画プロセスにNbSを組み込む上で極めて重要である。