
官民協働による総合複合交通施設の開発

新宿は、日本最大のビジネス・文化・エンターテインメントの中心地であり、1日の乗降客数が約350万人と日本一の乗降客数を誇る新宿駅を中心に、さまざまな商業活動や社会サービスが展開されている。 新宿には、都市鉄道や地方鉄道に加え、全国39都道府県の300以上の市や町を結ぶ都市間バス路線が多数乗り入れている。新宿駅南口地区では、新宿高速バスターミナル(バスタ新宿)の建設、歩道の拡幅、地下通路の建設の3つの大規模な資本整備が行われる。
コンテクスト
対処すべき課題
独立した19のバス停が不便なことに駅周辺に点在しており、他の移動手段との乗り換えのためにうまく配置されていなかった。さらに、駅の南口前には公共広場がないため、大勢の乗客が狭い歩道や古い道路橋の上を横断し、ストレスの多い危険な道のりを歩かなければならなかった。交通量の増加、道路設備の老朽化、駅周辺の歩行者環境の悪化のため、大規模な資本整備の必要性が差し迫っていたことは疑いない。
所在地
プロセス
プロセスの概要
バス輸送は、先進国でも発展途上国でも、経済的に効率的で社会的に手頃な複数交通システムを確立するために不可欠な手段である。しかし、バス輸送には、不便な相互乗り換え、快適でない待合スペース、道路の混雑、信頼性の低い運行など、いくつかのマイナスイメージがあり、そのために旅行者がバスサービスを楽しめないことも多い。このビルディング・ブロックは、バス・サービスの質を向上させ、賑やかな商業地区で安全で快適な建築環境を再現するために、公共主導による近代的なターミナル開発の応用を提示している。
ビルディング・ブロック
公共交通ノード開発のための公的イニシアティブ
バスタ新宿は、約1.47haの人工地盤に道路橋の一部として国が開発した。この新しい施設は、鉄道駅へのゲートウェイ、高速バスターミナル、タクシープールといった複数の交通機能を併せ持ち、幅広い都市間バス路線をシームレスに扱う。重要なのは、このターミナルが民営化された国内最大手の鉄道会社のひとつであるJR東日本と共同開発されたことだ。同社はターミナルに隣接して高さ170メートルのビルも建設した。このタワーには、多くのオフィスや商業テナント、オープンエアーの緑地、文化施設、保育園、診療所、農園などが入っている。また、政府は複数の民間サービス・プロバイダーと協力し、ターミナルとその周辺で旅行者にさまざまな便利なアメニティを提供している。
バスタ新宿に近い新宿駅周辺と東京メトロの別の駅を結ぶ地下通路を新設した。この150メートルの通路により、利用客は歩行者の渋滞に巻き込まれたり、車の往来を横切ったりすることなく、複合交通施設を徒歩でスムーズに行き来することができる。
実現可能な要因
- 資本改善プロジェクトを通じて複数の交通事業者を調整する公共部門によるリーダーシップ
- プロジェクトの計画について話し合うための調整メカニズム(定期的な利害関係者会議など
- 公共部門による、民間バス事業者に対する調整のメリット(理想的には金銭的なもの)の強調。
- 大規模な都市再開発を実施する民間企業の能力。
教訓
複数の民間事業者によって提供されるバスの停留所や路線が分断されている場合、公共部門は、資本改善プロジェクトや需要管理プログラムを通じて、複数のバスサービスの効率的な調整を開始する必要がある。 特に、統合された近代的なターミナル開発への公共投資は、公共交通機関の運行を調整するだけでなく、交通渋滞や、繁華街周辺の関連する負の外部性を緩和する上で、極めて重要な役割を果たすことができる。
地区全体の歩行者環境の整備
近代的な総合ターミナルの開発には、通常、交通利用者のための優れた屋内設備が含まれる。バスタ新宿の場合、このプロジェクトは、複合交通施設を包含する地区全体の歩行者環境づくりを包含している。国道沿いの歩道を広げ、民営化された鉄道会社と協力して、ターミナルと鉄道駅、オフィスビルや商業ビルを結ぶ地下通路を建設した。
実現可能な要因
- 地区レベルの計画との調整
- 公共資本整備のための民間開発業者や鉄道会社との協力
- バス事業者や地域住民との協議
教訓
地区全体の歩行者循環システムの構築は、バス輸送サービスの利用をより効果的に促進し、公共投資の商業的影響をバスターミナル周辺でより広範囲に及ぼす。
質の高いサービスとホスピタリティ
複合交通ターミナルは、さまざまな旅行ニーズに応える施設やサービスを備えていなければならない。バスタ新宿の屋内スペースには、146席の座席、多目的トイレ、授乳室、コインロッカー、ATM、待ち合わせや乗り換えのためのチケットサービスカウンターがある。また、電光掲示板では、バスの時刻表や運行先、運行状況などをリアルタイムで案内している。こうした基本的な設備やサービスに加え、手荷物や荷物の宅配、クローク、外貨両替、旅行券の販売、無料インターネット接続など、旅行者に便利な各種アメニティも用意されている。さらに、ターミナル内の観光案内所では、英語、中国語、韓国語の多言語で、東京や全国の都市の旅行情報を提供している。
実現可能な要因
- 情報交通システム(ITS)の応用により、複合交通ターミナルで提供される最新情報を確保する。
- 国内線以外の乗客や障害者への十分な配慮。
教訓
また、公共交通機関や民間商業施設を横断する乗客や一般歩行者のダイナミックで複雑な流れを管理するためには、ユニバーサルサイネージシステムの導入が不可欠である。また、公共交通施設や民間の商業施設を行き来する乗客や一般歩行者のダイナミックで複雑な流れを管理するためには、ユニバーサル・サイネージ・システムの導入が不可欠である。 都市間高速バスは、その国をよく知らない海外からの旅行者にとって、全国の魅力的な観光地を特定し、そこに到達するための手頃な交通手段であるため、多言語案内デスクの設置は、ホスピタリティにとって特に重要である。
影響
経済効果: 交通サービスの向上と移動コストの削減により、新宿のオフィス街や商業地区を訪れる国内外の観光客が増加する。より頻繁で円滑な対面会議は、新宿のビジネスチャンスと生産性を高める可能性が高い。また、このプロジェクトによって改善・増加する観光客、旅客、歩行者の流れは、バスタ新宿や新宿駅周辺の新しいショッピングモールや既存の商店街でのサービス消費や商品販売を押し上げる可能性が高い。
社会的インパクト: 新ターミナルビルとその周辺の施設や通路は、車椅子を利用する人、ベビーカーを押す人、大きなスーツケースを持つ人など、社会のあらゆる人々に配慮したバリアフリー設計となっている。シームレスな回遊システムにより、交通機関だけでなく、バスタ新宿周辺の様々な福祉サービスや商業活動にも容易にアクセスできる。
環境への影響: 統合された交通ターミナルは、新宿駅周辺のバスやタクシーによる路上交通の悪影響(騒音や大気汚染など)を緩和し、長期的には温室効果ガス排出量の削減に貢献する可能性がある。バスタ新宿はまた、壁面緑化された建物、緑の広場、一般開放された屋上農園など、いくつかの緑の要素を含んでいる。
受益者
- 新宿駅周辺の公共交通機関の乗客、観光客、歩行者
- 新宿区民および事業者
- バス・鉄道・タクシー事業者
持続可能な開発目標
ストーリー
3つの主な改良点の詳細は以下の通り。
総合高速バスターミナル
バスタ新宿は、約1.47haの人工地盤に新設された道路橋の一部として建設され、2016年4月にオープンした。鉄道駅への出入口、高速バスターミナル、タクシープールなど複数の交通機能を併せ持ち、幅広い都市間バス路線にシームレスに対応する。屋内には146人収容の座席、多目的トイレ、授乳室、コインロッカー、ATM、チケットサービスカウンターがあり、乗客の待ち時間や乗り換えの際に利用できる。また、電光掲示板により、バスの時刻表、運行先、運行状況などをリアルタイムで提供する。こうした基本的な設備やサービスに加え、新交通ターミナルは複数の民間企業と協力し、手荷物・小包の宅配、クローク、外貨両替、旅行券販売、無料インターネット接続など、旅行者に便利なさまざまなサービスを提供している。さらに、ターミナル内の観光案内所では、英語、中国語、韓国語の多言語で東京や全国の都市の旅行情報を提供している。バスタ新宿は、民営化された日本最大級の鉄道会社である東日本旅客鉄道と共同開発された。2016年3月、バスタ新宿に隣接して高さ170メートルのJR新宿ミライナタワーが開業した。このタワーには、多くのオフィスや商業テナント、開放的な緑地、文化施設、保育園、診療所、農園などが入居している。
広々とした歩道
国道20号線全体の交通のボトルネックとなっていた駅出口に面した道路橋の一部を、幅員30メートルから50メートルに拡張し、歩道も5メートルから15メートルに拡幅した。バスタ新宿ではタクシーの待機や送迎は可能だが、路上駐車や歩道での行列は全面禁止。
広大な地下通路
バスタ新宿周辺の新宿駅と東京メトロの新宿駅を結ぶ地下通路が新設された。全長150メートルのこの通路により、利用者は歩行者の渋滞に巻き込まれたり、車の往来を横切ったりすることなく、徒歩で複合交通施設をスムーズに行き来することができる。