世界遺産の越境統治機構

文化庁が施行する文化財保護法の指定文化財を含むほか、環境省が管理する吉野熊野国立公園と、それに関連する和歌山県、奈良県、三重県の区域を含む:和歌山、奈良、三重の3県とその自治体が管理している。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」三県協議会は、世界遺産登録を目指すために設立され、登録後は保全活動の調整や管理計画の策定を担当している。三県知事が会長・副会長、市町村長・教育長が委員を務める。文化庁はオブザーバーとして参加している。文化財の保護については、各都道府県の文化財保護・地域振興課や市町村の担当者と連携している。 また、各分野の専門家で構成される学術委員会の助言を受けている。

紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録に3県と政府が強い関心を示したことで、各県と自然保護を担当する政府機関との間に、世界遺産登録を推進するためのパートナーシップが築かれた。

登録時の世界遺産委員会の勧告に基づき、3県は包括的な保存管理計画を策定し、3県協議会が中心となって保存管理を行う体制を確立した。この制度は、「霊場と芸術の源泉(富士山)」のように、日本のいくつかの県が世界遺産登録を推薦し、その保全管理を行う方法に大きな影響を与えた。