地方レベルでの能力構築

地元の能力開発と意識向上は、遺産の専門家と地元コミュニティーのメンバーの両方の訓練を含むソコトラ遺産プロジェクトの中心である。特に、持続可能な地域開発に遺産を確実に取り込み、地域コミュニティの持続可能性を確保することに重点を置いている。

2018年から2020年にかけて、プロジェクトチームのメンバーはバーレーンのマナーマにあるアラブ世界遺産地域センターに4回集まり、ソコトラの文化遺産の認識、文書化、記録に関する研修ワークショップを行った。文化遺産の記録に関する研修では、岩絵具の記録やカイト航空写真の使用に関する専門的な研修を含め、さまざまな遺跡の詳細な調査方法が行われた。無形遺産の記録では、伝統的な慣習を細部まで再現できるよう、映画撮影の詳細な訓練を行った。また、教育・啓蒙技術、プレゼンテーション、ストーリーテリングのトレーニングも行われた。さらに、ソコトリ・コミュニティの関心のあるメンバーが、文化遺産の記録作成に直接携わった。

第一に、現地チームの要求が満たされ、プロジェクト・パートナーやステークホルダ ーによって合意された戦略的成果に合致していたことが挙げられる。

これはさらに、英語、アラビア語、ソコトリ語に堪能なARC-WHのソコトラ担当プロジェクト・コーディネーターが現地に参加し、コミュニケーションと知識の伝達を促進したことによって支えられた。

対面式研修や現場研修を実施するための旅費の確保は、こうした活動の効果を確実にするための基本である。

  • 優れた包括的な能力開発活動には、補完的な専門知識を持つプロジェクト・パートナー間の緊密な協力が必要である。
  • ソコトラのような先住民社会では、女性は伝統的に公共活動で重要な役割を担うことを避けてきた(あるいは、必ずしも平等な機会の恩恵を受けてこなかった)。ソコトラ族の女性を参加させることで、そうでなければアクセスできなかった情報源にアクセスすることができた。
  • チームメンバーが必要なスキルを確実に身につけ、コミュニティや地元の専門家にスキルを伝える経験も積めるよう、研修プロセスを通じてフィードバックを集めることが重要である。
  • コミュニティや地元の関係者と適切にコミュニケーションをとり、関わっていくためには、質の高い翻訳サービスが必要である。さらに、先住民の言語スキルを持つ遺産専門家が直接関わることは、研修や能力開発を効果的に実施するための基本的な財産である。