MPAの共同統治において、コミュニティから誰が参加するかを決めることは、長期的な成功を制限することにも、可能にすることにもなる。女性と男性では、沿岸資源管理をめぐる役割、優先事項、ニーズ、知識が異なるため、MPA管理への貢献やそこから得られる利益も異なる。漁業から直接収入を得ているか否かにかかわらず、コミュニティのニーズと優先事項を十分に把握し、コミュニティからの幅広い支持を育むためには、MPAのキャパシティ・ビルディングと管理の機会に、すべての性別の人々が等しく参加すべきである。
実現可能な要因
MPAの漁業制限を監視し、実施しようとするコミュニティの存在は、成功に不可欠である。さまざまな役割を担う女性や男性は、政策に関する情報を広めたり、政策を実施したりするのに役立ち、より広範なコミュニティに情報を届けることができる。さらに、女性の参加を重視し、現地のジェンダー力学を理解するドナー組織からの支援は、ジェンダーの固定観念の転換を促し、女性も男性も平等に参加できるようにするのに役立つ。
教訓
フィリピンでは1970年代からMPAが設置されている地域もあり、その多くは男性漁師だけで設立された。つまり、女性の参加を阻む固定観念や地域の伝統が長く根付いているのだ。カティクガンの場合、こうした固定観念が女性のMPA管理への正式な参加を阻む大きな障壁となり、収入やエンパワーメントの機会を制限していた。逆に、マイテとビノ・オンガンでは、女性がMPAの管理・運営を主導し、新たな収入を得る機会や生態系資源の効果的な保全につながることもあった。MPAは世界的なNGOによって支援され、海外からの援助で賄われ続けているため、女性の参加における現在の格差を十分に評価するためには、使用される評価の枠組みは男女平等を統合したものでなければならない。資金計画や評価の枠組みにジェンダー平等が含まれていなければ、生活に影響を与える女性が管理を支持する可能性は低くなる。